*** *** *** ***
みんながあたしを大事にしてくれないって思うの、やめたの。
そんなら、あたしが自分を大事にすればいいんだって。
(「櫻の園」 吉田秋生)
*** *** *** ***
自分の身は自分で守るわと
つっぱっていた少女の、角がとれた変化に
「あなた、変わったわね」
と、部活友達が言ったときの
その少女の返事です。
軽い感じで、さらっと言っている台詞だからこそ
本心なんだなとわかります。
この台詞だけでは、わからないのですが
この少女は
「みんながあたしを大事にしてくれないって思うの、やめる」前に
恋人とのやりとりで、ある衝撃を受け
「大事にしてくれていた」ことに気づいています。
そして、他の人に対しても
「ごめんね。大事にしてくれてたんだね」
と、心の中でつぶやきます。
彼女は
「みんながあたしを大事にしてくれない」と思っていたのは
自分自身だから
それを「やめる」ことにしました。
そういう下地があったからこそ
「あたしが自分を大事にすればいいんだ」
と実感できているんですね。
誰も大事にしてくれないから、自分が自分を大事にする
という意味では、決してないのです。
自分を大事にすることは
他者に大事にされていると実感できた、その先にあるものだと
わたしは、日々実感しています。