『カウンセリング解体新書』(著:菅野泰蔵 日本評論社)より
「話す」は「放す」につながるのであり、「話す」ことによって
自分の心のわだかまりやしこりが解き放たれるということがある。
トラウマというのは瞬間冷凍された記憶です。あまりに強烈な体験をしたときに、
心が自らを保護するために、その体験に関わる感覚をひとかたまりにして瞬間冷凍し、
感じないようにしてしまうのです。
それが、何かの折に解凍されてしまうと、過去のことであったにも関わらず、
その記憶の一部はとても生々しく蘇ってくるのです。それをフラッシュバックといいます。
通常の記憶と同じように、それを過去のものとして心が認識すること、
それがトラウマから解放されるということです。
放すというのは、消し去ることでもなければ捨ててしまうことでもありません。
起こってしまった事実は消すことも捨てることもできません。
捨てたりしなくていいのです。
あの時の自分を暖めてあげよう。まずはそこから始めよう。
ちゃんと抱きしめて・・辛かったね、こわかったね、しんどかったね・・って。
過去のわたしをしっかり抱きしめてあげたなら、そしたら、大事に手放そう。
もう、いいんだよ。苦しまなくていいんだよ。ちゃんと生きてきたね、頑張ったね、えらかったね。
声にならなかった叫びも、自分が悪いのかと責めたことも、誰にも言えないと悩んだことも、
みんな、大事に手放そう。
話すことは放すこと。以前わたし自身もそうして手放しました。
トラウマから解放されることはできます。その力は自分自身の中にあります。